【ミニインタビュー】2023年度審査員 押元一敏さん
第4回目のインタビューは、東京藝術大学デザイン科准教授、画家として幅広く活躍されている押元一敏さんです。
コピックアワード2022から引き続き審査員を務めていただく押元さんですが、前回を踏まえてどのような作品を期待するのでしょうか。
前回のインタビューも併せてご覧ください。
▶︎【ミニインタビュー】2022年度審査員 押元一敏さん
グループ展『FROM』展示会場(郷さくら美術館) 作品「富士礼讃」(2022)
flying birds (2016)
1995年東京藝術大学美術学部卒業、1997年同大学大学院修了、2013年現職。三溪日本画賞展大賞(1998年)、アーティストグループ「風」入賞(2012年、2013年、2015年)、郷さくら美術館「桜花賞」大賞(2015年)など受賞歴多数。個展・グループ展などで活躍。 |
ーコピックアワード2022で押元一敏審査員賞に選ばれた作品
作品名:日本〜modern〜
作者名:川名綾子
「日本〜modern〜」/ 川名綾子
審査員当時のコメント
数ある作品の中であまり目立つ作品ではなかったのですが、審査会で現物を見させてもらって想像していた以上に小さい作品ということに驚きました。もう少し大きい画面に描いてるのだろうなと思ったので、この小さい中にこんなに細かい表現ができているというそのギャップが非常に魅力になって伝わってきました。
ーコピックアワード2022に審査員として参加いただきましたがいかがでしたか?
とても多くの方に出品いただいたことに有り難いと思いながらも、その分選ぶのに大変苦労をしました。残念ながら選ばれなかった作品の中にも個性が溢れ、作者の熱意が伝わってくる良い作品が数多くありましたので引き続き自信を持って描き続けてほしいですね。最終審査では、他の審査員の方がどの作品を選ぶかも興味深く拝見させていただいて、ちょっと別の角度から作品を捉えてみるとその魅力が一気に増すので楽しませていただきました。それもコピックの表現の多様性と気軽に描ける魅力であったり、世代や国を超えた出品者の幅の広さであったりするのかもしれません。
ーコピックをお使いいただいておりましたが、前回の審査を経て新たな発見などありましたでしょうか?
実際に使ってみると大胆さと繊細さを併せ持つことから表現の幅が増えていることを実感しました。微妙な色合いや重ねの面白さもあり透明感が魅力的です。しかも発色が良く、強い色を出せる点は水彩とも違う特徴を示していると思います。
石舞台古墳 (2021)
赤い城 (2022)
ー作品審査の際、何に一番気をつけていますか?
先ずは第一に目に入る印象を大事にしたいと考えます。ただ、しばらく他を観ていると繊細で丁寧に描かれていたり、よく考えられていたり、気合が入っていたりなど、じわじわと魅力を発してくる作品があります。そのような作品に出会ったときは、まるで宝物を見つけたように興奮するのですが、冷静な態度を装いながらも最初の作品と天秤にかけて判断します。その時、純粋に描かれた絵は人の心を動かす力があることを信じて、できるだけ素直に観るよう心がけています。
ーコピックアワード2023にこれから応募する人や、コピックユーザーにメッセージをお願いします!
よくある大作などの絵画コンクールとは違って手軽に描けて応募できる唯一の特徴を持った公募展だと思います。絵というものがとても日常に近い存在として、描き手を投影する、正に生きているようなものだと考えられます。幼少期に描くことが楽しいと思えた感覚を保つことは難しいことですが、手を動かすことによって記憶をたどり寄せ、また楽しめることが一番です。そういう作品は、観る人も楽しませてくれると思います。
ー押元さん、皆さんへの熱いメッセージありがとうございました!